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モザンビーク島:前編
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朝早く起き出して、モザンビーク島行のバスに乗るためにバスターミナルに行く。
ゴミだらけのターミナルに着くと目当てのバスはすぐに見つかったが、勿論客が集まるまで待たされるアフリカ方式。

窓側の席を確保して外を眺めていると、実に様々な品物を鬻ぐ物売り達がバスの周りを衛星のようにぐるぐると周回している。歯ブラシ、ビールジョッキ、スリッパ、子供用のキャラクターグッズ、DVD、鉛筆削り、腕時計・・・見てる分には面白いが、しばらく観察していてもやはり全然売れてない。子供の物売りも結構いるので、仕入れを自分で行って場所代を払って商売している連中だけでなく、単に雇われているだけの売り子も多いのだろう。


1時間ほど待った後バスは出発。この頃には中は既に定員オーバーである。
目的地まで3~4時間、隣の汗臭いオバサンが押してくるのにをうつらうつらしながら耐えしのぐ。
時折道の脇を藁葺き屋根の小さな村々が通り過ぎる。そしてバスが止まるたびにどこからともなく物売りたちが集まってくる。売っているものも町中と違って豆やカニ、果物など地元産っぽい素朴な物が増えてくる。


ナンプラを出発してから4時間ほど経った頃、バスはモザンビーク島の手前の集落に到着した。
島へはバスは渡れないので、ここで乗り合いのピックアップトラックに乗り換える。
橋の袂には中国語で「中国江西国際公司歓迎你」と書かれた派手な看板があった。モザンビーク島に鄙びた旅情を求めてやってきた旅行者としては正直ゲンナリだが、それにしても聞いたこともない中国企業がこんなモザンビークの田舎まで進出して何をしているんだろうか?アフリカでの中韓企業のプレゼンスは日本企業の比ではないことを再認識。


トラックは島を本土とつなぐ一本の細い橋を渡っていく。

◆◆◆

モザンビーク島は今回モザンビークを訪れた唯一にして最大の理由だ。
昔この国を訪れたとき、マプトから2000km離れたモザンビーク島はあまりに遠く、モザンビークの移動があまりに辛く、しかも時間が足りなかったことから泣く泣く(というほどでもないんだけど)諦めた経緯があり、いつの日かリベンジすることを誓っていた。しかも私はザンジバルをはじめとするアフリカのインド洋岸がツボなので、否が応にも期待は高まっていたのである。

島の歴史を繙くと、モザンビークという国名自体がそもそもモザンビーク島に由来する。
アラブ人が入植した中世から15・6世紀以降のポルトガルの植民地支配を経て19世紀末に首都がマプトに移されるまで、インド洋交易の中心として、また今のモザンビークとされる地域の統治の拠点として繁栄した。島には朽ち果てつつあるポルトガル時代のコロニアルな町並みが残され、紺碧のインド洋を背景にとても趣のある景観を織りなす。
哀えゆく島の甘く寂れた空気を堪能する場所だ。


島に上陸した瞬間、風景は一変した。
立ち並ぶ建物たちは予想以上にオンボロで外壁は今にも崩れ落ちそうだが、ここまで見かけた村々やナンプラとは明らかな文化のレベルの差を感じさせる、西洋とアラブの影響を受けた町並みが続く。往時には本土からかけ離れた洗練された土地だったのだろう。


宿を予約していなかったので、ロンプラの地図を頼りにホテルを探す。
途中で見かけた海に面したプールがあるVilla Sandsは綺麗でスタイリッシュだったのだが予算オーバー。第一候補だったHotel Escondidinhoは二日後まで一杯。さまよった結果、海と小さな広場に面したCasa Brancaで1泊することにした。蚊帳つきのベッドと扇風機、シャワーとトイレは専用だが部屋の外。かなりベーシックだが$3~40くらい。


荷物を置いたら、宿のあるストーンタウン(旧市街)を歩いてみた。
ストーンタウンは島の北半分を占め、サンパウロ宮殿やサンセバスチャン砦、ミゼリコルディア教会等の旧跡が集まっている。



ミゼルコリディア教会の前にあり、何度か通ったAncora D'ouro(黄金の碇)というレストラン。
旅行者と在住の白人のたまり場で、蚊と蝿が多いが味はなかなかよかった。値段も先進国並だったが・・・
モザンビーク島はとにかく暑かったので、ビールがうまかった。


街は廃墟になっている建物も多く、路地で遊んでいる子供の他は道行く人は少ない。
観光客も殆ど見かけず、時が歩みを止めたようにとても静かな島だ。
廃墟に無断で住みついてると思しき半ホームレスのような住民も時折いて、なんとも虚脱感が漂う。


治安はそれほど悪くないので、夜も特に問題なく歩き回ることができた。
昼間活気がなかった路地はやはり夜になっても暗いが、人々が辻々に座り込んで涼みながらおしゃべりをしていて長閑な雰囲気だ。暖色の街頭に照らされた夜の旧市街は昼間とは全く異なる表情を見せる。

モザンビーク島には繁華街もなくバーやレストランも少ないので、夜遊びに出掛ける所もあまりなく、基本的に部屋やレストランでのんびりするのが正しい過ごし方だ。ここでは夜はゆるやかに歩む。


モザンビーク旅行記:モザンビーク島へ&モザンビーク島夜景