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モザンビーク島:中編
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モザンビーク島は潮の干満差が大きい。
朝外に出ると、昨日の夕方には宿の前にあったはずの海が遥かに後退して海底があらわになっていた。地元の住民が幾人か潮干狩りの要領で残された貝を集めている。

昨日の夕方に引き続き冴えない空模様だが、島の北端にあるサン・セバスチャン砦の方に歩いた。
古い植民地時代の建物だけでなく、時折50~60年に建てられたと思しきレトロなアールデコの建物も見かける。映画館や裁判所等々・・・どの建物もひっそりとして人気がなく、とても現役で使われているようには見えない。まるで時が止まったように静かな街だ。あるいは、実際に島では新しい建物の建築など数十年行われておらず、文字通り時が止まったままの街なのかもしれない。


土曜だからだろうか、通りを歩いているのは子供が多く、大人が働いている光景は殆ど見かけない。大人は大抵家の入口に座りこむか寝転んで、ぼんやりしているか駄弁っているかゲームをして遊んでいるかである。

物乞いはそれなりにいるが、店が営業中なのに無人で放置されていたりするので、察するにきっと平和で穏やかな島なのだろう。


島には廃墟となった建物が多く、上は病院から下は個人住宅まで、様々な廃墟が朽ち果ててゆく姿を晒している。しかしその廃墟にも人は住み着いていて(おそらく占有権原はないと思うが)、よく洗濯物が干してあったり、調理用の鍋とコンロが置かれていたりする。

不法占有者たちは何をして食べて行ってるのか?風呂もトイレも水道も電気もない廃墟でどうやって暮らしているのか?建物の権利者や行政は何のアクションも取らないのか?等疑問は満載だが、なぜか彼らの存在も島の風景にとても自然に溶け込んでいるように思えた。


島の南側に行くと、サンアントニオ教会の手前の浜辺で漁師たちが魚を売っていた。
満潮時には海に沈む場所で、地元の人々が獲れたての魚を買っていく。
熱帯の魚だが、モザンビーク島のシーフードはなかなか旨い。


Hotel Escondidinhoのレストランでランチ。
それにしてもモザンビークに来てからエビばかり食べている。


ランチの後、Casa Brancaと同じオーナーの別の宿に移動した(Casa Brancaが暑すぎた&トイレ・シャワーが室内になくて不便だったため)。ベッドが2つとリビング・ダイニング付、エアコン付でなかなか快適。但しWifiなし。


昼下がりになってやっと陽が差してきたので、サン・セバスチャン砦に向かった。
16世紀に建造された砦は島の北端に位置する。


荒れ果てた砦の中には観光客は他に誰もいなかった。
砦は往時の姿から殆ど手は加えられておらず、数百年前の大砲や建物が朽ちるに任せて放置されている。
無人の廃墟には灼け付く西日を遮るものもなく、時折吹く海風だけが静寂を破る。
日常からとても遠く離れた場所だ。


ちなみにこの砦の先端から更に突き出た突端にあるノッサ・セニョラ・デ・バルアルテ礼拝堂(Chapel of Nossa Senhora de Baluarte)は1522年に建立され、南半球で最古のヨーロッパ建築とされる。実際に見てみるとアラブ的な要素が強く感じられ、あまりヨーロッパ建築という感じはしなかったが・・・



砦は周囲を海に囲まれていて、近くにビーチと岩場が点在する。
海は割と奇麗なのだが、人の生活圏と近い上に地元民が海で用を足すのを何度も見かけたので、今一つ泳ぐ気はしない。しかし地元民は全く問題なく泳いではしゃいでる。用を足す所で楽しげに泳ぐのはなかなか理解しにくい感覚だ。



砦とビーチでぼんやりしていたら、気づいたら夕方になっていた。
夕闇が迫る中、家路を急ぐ。空が薄暗くなるにつれ、島は更に深いまどろみへと落ちて行くように見えた。


モザンビーク旅行記:モザンビーク島-サン・セバスチャン砦、ストーンタウン、病院跡、サン・アントニオ教会、ノッサ・セニョラ・デ・バルアルテ礼拝堂