レイキャビクから車で1時間ほどの距離に、ゴールデン・サークルと呼ばれる地域がある。
別に金が採れるわけではなく、単にスコーガフォスの滝、ギャウやゲイシール等の主だった観光地が集まっているから「ゴールデン」の名を冠せられたに過ぎない。なんとも安直な命名である。
別に金が採れるわけではなく、単にスコーガフォスの滝、ギャウやゲイシール等の主だった観光地が集まっているから「ゴールデン」の名を冠せられたに過ぎない。なんとも安直な命名である。
猛烈な風が吹く日で、雪は風にあおられて高く舞い上がり、ダイヤモンドダストのように美しく陽光にきらめく。
バスの中の陽だまりのまどろみとは対蹠的に、冷たく荒涼とした外の世界。
不意に先週ジャマイカで目にした鬱蒼と繁る森と紺碧の海が脳裏に浮かぶ。
熱帯の黄金夢に、夢に浮かされたようにしばしば遠い地方を旅する自らの姿が重なる。
大西洋の中央にあるアイスランドには、ユーラシアプレートと北米プレートの境界があり、ギャウと呼ばれるその地球の割れ目は年々拡がっていて、国立公園内のあちこちには峡谷のような裂け目が口を開けている。
雄大な景観だが、展望台には殴りつけるような強風が吹き荒れ、正直景色どころではない。
スコーガフォスの滝では水が轟音を響かせながら、巨大な大地の裂け目へと雪崩れ込んで行く。
ここでも風は吹きすさび、滝からの水の飛沫が凍りついて地表を白く染め、枯れた下草がまるで樹氷のように凍てついている。カメラのレンズやダウンジャケットもすぐに凍った飛沫で覆われ、まともに目を開けることすらできない。
とにかく耐え難い強風と寒さのスコーガフォスを後にして、ゲイシール(間歇泉)へと向かった。
ここでは氷の欠片は飛んでこないが、相変わらず風が強く、時折吹き出す水柱も真っ直ぐには上がらず、もの凄い勢いで風下へと流されていく。そこかしこの源泉から、寒さと不釣合いな湯気がモクモクと上がっている。
火山の火口湖を見物して、レイキャビクへの帰路に着く。
それにしても一日中風が吹き荒れた日だった。
レイキャビクに戻り、今夜の宿、Northern Lights Innのあるブルー・ラグーンまでタクシーで移動。
タクシー代が100ドル以上するが、この時間に公共の交通機関はないので他の選択肢はない。
ホテルは値段の割に素朴な佇まいで、清潔で北欧らしいインテリア。部屋の窓からはブルー・ラグーンに隣接する地熱発電所が煌々と光り輝いていた。
ホテルにはHonesty Barという、その名の通り自己申告制のセルフサービスのバーがあり、そこで飲みながら、例によってトランプをした(全員30代)。丸一日寒風に晒された身に、部屋の暖かさが沁みる。
アイスランド旅行記/ゴールデンサークル観光ツアー