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アーリントン墓地とキャピトル
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ワシントンDC2日目。
朝、アーリントン国立墓地へと向かう。

アーリントン墓地は周知のとおりアメリカで最も有名な戦没者の墓地であり、巨大な慰霊施設でもある。アメリカの愛国主義・保守主義を象徴する聖地でもあり、語弊を恐れずに言えば、いわばアメリカの靖国神社だ。


広大な敷地には27万人が葬られていて、今でも毎日多くの葬儀が営まれている。
至る所に静寂と死者への敬意を求める警告文があり、非常に右寄りの、愛国的なアメリカの姿を垣間見ることが出来る。

埋葬される資格があるのは一定期間以上軍歴がある者で、埋葬は故人または遺族の希望により決められる。
元々は南北戦争による大量の戦没者の埋葬地として作られた墓地だが、その後1963年に暗殺されたケネディ大統領が埋葬されたことにより一躍脚光を浴び、埋葬希望者が急増したという。それでも家族の墓ではなくここでの埋葬を希望するのは、有資格者の10%程度らしい。



宗教施設である靖国神社では常に政教分離が問題となるが、アーリントンでは宗教的中立性を保つことでこの問題を回避している。埋葬と葬儀の方式は故人が選択することができ、実際にキリスト教以外に仏教、イスラム教更には新興宗教まで様々な宗教の墓標がある。宗教的行為に国費が出損されることになるが、玉串料と違って中立性があるという整理になるのだろう。



起伏のある園内はとにかく広大で、見渡す限り、夥しい数の白い墓標が続いている。
軍、白い墓標、慰霊と言うと、日露戦争の「得利寺付近の戦死者の弔祭」という写真を思い出すが、国家による無名兵士の追悼行為はどこの国でも似た雰囲気を作り出すのかもしれない。


スペースシャトル・チャレンジャーとコロンビアで犠牲になった宇宙飛行士たちの慰霊碑もあった。
考えてみると、スペースシャトルは試験機を除いた5機のうち2機が失われるという(無傷だったのはアトランティス、ディスカバリー、エンタープライズ)、恐るべき損耗率だ。特にチャレンジャーは、幼い頃にTVで見たあの爆発シーンは今でも鮮明に思い出せる程衝撃だった。




地下鉄で国会議事堂(Capitol)に移動。切符の買い方の分かりにくさが半端ない。
議事堂の内部は予約が必要なので外から見るだけ。近くに数本8分咲きの桜があったので、議事堂とセットで撮影。




その後、帰りのバスまでNational Gallery of Artで過ごす。
メトロポリタンやMOMAほどではないが、割と見応えのあるコレクションだった。

DCは街は見所ゼロで、ナショナル・モールやキャピトル・ヒルも予想どおりだったが、アーリントン墓地は強烈に印象に残った。決して右ではないが(むしろ左寄りだと自認しているが)、あの偏執的にどこまでも続く墓標と、その背後にある巨大な死の気配は見る者を圧倒する・・・と思ったら同行者は別に何とも思わなかったようなので、やはり人それぞれなのだろう。

バスは夜遅くペンステに到着。
すっかり疲れた週末旅行だった。