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San Jose
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San Jose, Costa Rica
コスタリカは中米の優等生として知られる。

歴史的にアメリカの影響が強く、政情も他の中米諸国に比べると安定していて、英語を話す人も多いので、欧米企業が工場やコールセンターを置くことも多い。1人当たりGDPも高く、その分物価も高い。街並みやインフラもよく整備されていて、チリやアルゼンチンあたりの中進国に雰囲気は近い。

そんなコスタリカだが、アメリカ人の老後の移住先として人気が高く(物価が安くて暖かい所が人気なのは万国共通だ)、観光地としてもおそらく(アメリカ人には)最もメジャーな存在だろう。もっとも、その観光地は森林や海洋の国立公園等エコツーリズム系がメインで、正直生き物はサファリとダイビングくらいしか興味がない筆者にとってはあまりそそられない。なので、コスタリカでは首都のサンホセだけ立ち寄ってみることにした。


町の中心部は新しい建物が多く、ゴミも少なく、咲き誇る街路樹のロブレ・サバナが美しい。
街並みはあまり特徴はなく、はっきり言って味気ないが、少なくとも秩序は感じられる。

そして、至る所に警官の姿が目につく。
治安維持のための努力が見られるだけ近隣諸国よりはマシなのだろうが、やはり治安の問題はここでも深刻なのだろう。


サンホセの唯一の見所は国立劇場とされている。
確かに立派ではあるが、ヨーロッパのオペラハウスや劇場と比べると非常に小規模で、これが一番の名所とは・・・と、なんとも微妙な気分にならざるを得ない。ちなみに劇場内部は自由に見て回ることはできず、ツアーに参加する必要がある。


待合室の装飾や寄木の床は確かに豪華で、パリのオペラ座と同じ職人を招聘したという話。
面白いのは、天井画の題材やモチーフが植民地風なこと。椰子の木の揺れる港や、緑豊かなプランテーションのコーヒー畑などの風景が描かれ、黄金色のロココ風の装飾と絶妙にマッチする。まるでバナナとコーヒーのプランテーションが産み出す富と、現地人からの搾取の象徴のような建物だが、欧米系の入植者のマインドセットでは、悪びれることすらないのだろう。


劇場の内部は狭いが、ビロード張りの椅子や天井が等が美しい。

プランテーションの利益で建てられた豪華な劇場といえば、ブラジルのマナウスのオペラハウスも有名だが(行ったことはないが)、食いつめてヨーロッパを出てきた入植者達が、植民地で成功したらヨーロッパの上流階級のような生活を目指すというのは、当時の典型的な行動様式だったのかもしれない。

この劇場での初演はゲーテの「ファウスト」で、外にはベートーベンの彫像がある。
入植者達の心と目は、どこまでも遠いヨーロッパに向いていたのだろう。それは原住民とその文化の徹底した軽視ではあるが、ディアスポラの望郷の想いは、哀しくもある。


コスタリカには、中華街の門が一応存在する。
しかし周りに中華系の店は殆ど無く、一瞬期待した中華料理屋もほぼ見かけなかった。
ディアスポラで言えば、彼らも世界中に門を建てるという意味で、小規模で慎ましいながらも、世界中どの民族も似たようなものなのかもしれない。日本も戦争中は占領地で鳥居と神社を建てていたことでもあるし・・・


町のあちこちで、美しいロブレ・サバナ(Roble Sabana)の花が咲き乱れている。
八重桜のような色と花弁で、枝に奇妙な葉叢があることを除いたら、桜の木によく似ている。


国会議事堂や博物館、近くの公園(どれも地味)を周った後でホテルに戻り、空港へと向かう。
1日弱の観光だったが、サンホセだけならこれで十分だろう。


サンホセの空港は、期待通りにピカピカだった。
次の目的地は今回の旅の最後の国、パナマ。

サンホセ観光/コスタリカ/中米旅行記