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Reykjavik
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Reykjavik, Iceland

先週のジャマイカに続き、またCLSの同級生と週末旅行でアイスランドに行くことにした。
アイスランドといえば、財政破綻、噴火、温泉、ビョーク、シガーロス、オーロラ、サガ文学

そういえばローティーンの頃、一時期ビョークのファンだった。それまでシュガーキューブにいたビョークのソロ・デビューアルバム「Debut」は当時中二病真っ盛りだった(実際中二だった)私に衝撃を与え、On-Air Westでの初来日公演は最前列で聞きに行くほどだった(単にまだ日本であまり売れてなかったのでチケットが取りやすかったのだが)。その頃のアイスランドのイメージは、従って、ファッションフォトグラファーのユルゲン・テラーが撮った有名なビョークが息子と温泉に入っている写真に代表されるものだった。今見てもいい写真だ。

それから20年近く経って、初のアイスランド訪問。
日本からだと遠いが、NYからは直行便で僅か6時間。JFKからの夜行便は早朝にレイキャビクに到着した。
空港ビルは木がふんだんに使われ、北欧らしい雰囲気だが、実際はアイスランドには森林は殆ど存在しないので輸入材なのだろう。

外に出ると気温はそれほど低くなく、雪も積もっていない。
まだ明け切らない空の下、バスに乗ってレイキャビクの町へと向かう。
暗い荒野に疎らに点る家々の明かりが、そこに人々が暮らしていることを控え目に主張している。



夜が明けきった頃に街に到着し、チョルトニン(Tjörnin)湖近くのCastle House Apartmentsにチェックインした。アパート形式のホテルで、内装はシンプルだが部屋は広く、町の中心まで徒歩5分くらいの便利な立地。しかもリーズナブルな値段だったので、なかなかよい宿だった。




朝寝をした後、ランチを食べにアイスランド特産の手長エビの有名店、Humarhusid(フンマルフーシッド)へ。宿から歩いて5分。小さい町なのだ。



店は木のフローリングが軋む、瀟洒ながらもアットホームなインテリアで、早めの時間だったせいか、他の客は少なく、静かで居心地がいい。

普段アメリカの劣悪な食事に耐えている我々はここぞとばかりにシーフードをオーダーした。
出された手長エビのスープ、手長エビのグリル、サーモン等はいずれも美味で、ヨーロッパとアメリカのレベルの差を痛感する。



昼過ぎには、天気が崩れてきた。
小雨が降ったり止んだりする中、タクシーでホフディ・ハウスに向かう。
店からの距離は2キロ以内なのに、メーターが目を疑うようなスピードで上がっていく。
アイスランドは物価が高いことで有名な国でもある。

ホフディ・ハウスは1986年のレーガン・ゴルバチョフのいわゆるレイキャビク会談の会場となった建物だが、超大国の首脳会談の場所として想像されるような豪華さは微塵もなく、木造のやや大きめの普通の住宅といった外観だ。
冷戦時代のスパイ小説に出てきそうな冷たい雨が、白い壁を濡らす。









ホフディ・ハウスの近くの海岸沿いには、ヴァイキング船の竜骨をモチーフにした、Sun Voyagerという彫刻がある。
本来であれば、背景の湾の向こうには雪山が見えるはずなのだが、生憎空は一面の霞に覆われていて、氷雨混じりの冷たい風が吹き付ける。
北国に来たことを実感する。

◆◆◆

海岸沿いの通りから、ハルグリム教会への坂道を登る。
低く垂れこめた雲、濡れそぼつ灰色の街並み。
北の絶海の島国らしい、最果て感溢れる雰囲気だ。







ハルグリム教会はコンクリート製の近代的な聖堂で、ロケットの様な、今にも発射されそうな形をしている(なお、私のガイドブックでは「男根のような」と形容されていたが、実際はそうでもなかった)。

前の広場の中央には、アメリカ大陸を初めて「発見」したと言われる、ヴァイキングの親玉(レイブル・エイリクソン)の勇ましい銅像が鎮座する。



聖堂の上からの眺めは素晴らしい。
木造の建物が多く、カラフルなレイキャビクの街並は、見下ろすとさながらジオラマのようだ。




聖堂の近くの本屋のレジの脇に、アイスランドの名所をデザインに取り込んだコンドームが売られていた(流石に聖堂は不謹慎だからかモチーフにはされていなかったが)。
古今東西の動物のペニスを集めたペニス博物館もあるし、性に対して大らかそうな点はやはり北欧らしい。


アイスランドで一番ポピュラーなレストランと言えばここ、と言われるホットドッグスタンドBæjarins Beztu Pylsurへ。
クリントン(夫)も来たらしく、キャッチコピーは「宇宙一うまいホットドッグ」。
評判を裏付けるように、寒風をものともせずに、長蛇の列ができている。

一応並んで食べてみたが、結論から言うと、普通にうまい普通のホットドッグ。
特に感動とかを期待してはいけない。というか、むしろこの普通のホットドッグが、これほどHypeされるようになった経緯の方に興味を惹かれる。




ホテルに戻って一休みした後夕食へ。
折しもアイスランドはレストラン・ウィークで、有名店が他国から有名シェフを招聘していて、どこも予約は一杯。なんとか出発直前に予約が取れたDill Restaurantに向かう。場所はチョルトニン湖の北、Alvar Aalto設計のNordic Houseの中にある。
暮れなずむ灰色の湖畔を、人気のない街路を抜けて歩いてく。1人だったらちょっと気が滅入ってしまいそうな寂寥感だ。






レストランウィークだからか、レストランは一杯で、なんとNordic House内の図書館までテーブルをセッティングしていて、予約が遅かった我々はこちらの席に通されてしまった。

とはいえ、図書館の中(しかもAaltoの)で食事なんてそうそうないので、前向きに楽しんでいたのだが、一種類しかないコースがビート等の根菜中心に構成されていて、あまり根菜類が好きではない我々(私)は、急遽別のレストランを探すことに。
結局Dillではビールだけ飲んで、ディナーはシーフードが有名なVid Tjorninaに移動することにした。





Vid Tjorninaも大盛況で満席だったが、料理も旨く、雰囲気も落ち着いていて、なかなかいい店だった。
アイスランドは結構食事のレベルが高い。






ワインでいい感じに酔っ払って、ホテルに帰る。
夜遅い街中には人の姿はなく、さすが人口が30万人しかいない国だ。
やはり外は寒く風も強く、街並みは寂しげだが、こじんまりとした街の規模や室内の温かみが、殺伐さではなく、ある種の親密感を感じさせる。なかなか素敵な街だ。

アイスランド旅行記/レイキャビク観光