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酷寒のテーブルマウンテン
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窓外の赤茶けた大地に潅木と畑が増えてくると、程なく飛行機はケープタウンに着陸した。ウォルビスベイから約2時間のフライトだ。
空港の周囲にはバラックが蝟集してスラムを形成し、ヨハネスブルグほどではないにせよ、ケープタウンも貧富の差が激しい危険な街であることを再認識させてくれる。アフリカ南部や中南米諸国では、ジニ係数が高い=犯罪が多いという構図が定着してしまっている(この地図を見ると、ジニ係数が高い地域はテロや内戦を除く一般的な治安の悪いエリアと概ね一致している)。とりわけケープタウンはそのチャーミングな街並とリラックスした雰囲気とは裏腹に治安はしっかりと悪いので、より警戒心が必要かもしれない。


私にとってケープタウンはちょっとした宿願の地でもあった。
20世紀の最後の年に初めて南アを旅行したとき、やる気と時間とお金が足りなかった当時の私はケープタウンに足を踏み入れることなく帰国してしまい、それ以来いつか訪れることを心に決めていた。空港から市内へ向かうタクシーからテーブルマウンテンの姿を眺めながら、過ぎ去った10余年の歳月を思う。

ウエスティン・ケープタウン

Westin Cape Townにチェックイン。クリスマスシーズンでケープタウン中のホテル代が高騰している中、ここは比較的納得感のある価格設定だった。内装の趣味はお世辞にも良いとは言えないが、V&A Waterfrontに割と近く、クラブフロアでの朝食はシャンパンと生牡蠣まであって素晴らしい充実度。ホテルの価格や設備について言えば、南アは完全に先進国レベル。


空が晴れているうちに早速テーブルマウンテンに向かった。テーブルマウンテンには雲がかかることが多いので、晴れていればさっさと登っておくべきらしい。ケーブルカーの乗り場に着くと、ハイシーズンだからか既に観光客の長蛇の列が出来ていて、1時間以上並んで待たされた(しかも割込みが多く客のマナーは総じて悪い)。円形のケーブルカーは回転する仕組みになっていて、1,000mを超える高低差を一気に上昇して行く。


頂上からは期待通りの絶景が広がる。
南のCamps Bayを起点とする海岸沿いには十二使徒になぞらえてTwelve Apostlesと呼ばれる切り立った岩山が雲の下に姿を見せ、北にはケープタウン市街とLion's HeadやSignal Hill、マンデラや政治犯たちがかつて収監されていたロッベン島が一望できる。


テーブルマウンテンというその名のとおり頂上は広い台地状になっていて、ゴツゴツとした岩と背の低い植物が表面を覆っている。海のすぐ近くにあるにもかかわらず、気候や植物相は完全に高山だ。気温は高度に応じて忠実に逓減していて、晴天なのにかなり肌寒い。


雲海に沈む太陽は美しく荘厳だ。
しかし、日が沈むと気温は一気に下がり、ほとんど冬のように空気が冷え込んだ。念のため長袖のシャツを着て行ったが、その程度では全く太刀打ちできない。いくら海抜1000メートルとはいえ夏なのに寒すぎである。


雲間から見える町の灯りが次第に点り始める。
帰りのケーブルカーに乗ろうとすると、上りの時以上の長蛇の列ができていた。
薄着で寒さに震えながら長時間待たされ、非常に辛い。ホッカイロを何枚も体に貼り付けてしのごうとするが完全に焼け石に水である。しかも行きと同様に割込みをするマナーの悪い客が続出して、他の乗客とケンカして一触即発に近い状態になる等、本当頼むからこれ以上状況を悪くしないでほしい。
鼻水を垂らし、相方と身を寄せ合いながら待つこと1時間以上、ようやくケーブルカー乗場の建物に到達して一息ついた。
教訓:テーブルマウンテンは厚着で行くべき。


下界に降りると夜はすっかり暮れていて、美しい夜景が展けていた。
タクシーでホテルに帰り、体が完全に冷え切っていたのでバスタブにしばらく浸かって温まる。
やはりアフリカはケープタウンと言えどもハードだ。

南アフリカ旅行記:ケープタウン観光/テーブルマウンテン