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ケープタウン市内
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ケープタウン市内を散策。
ヨハネスと異なり危険地域以外は日中なら歩けるので、ホテルを徒歩で出発してHeerengracht Streetを下っていく。この辺りは交通量が多く特に危険ではないはずなのだが、人通りが少なく殺風景なビル街で、あまり歩いていて楽しいエリアではない。歩行者はほぼ黒人のみで、ナイロビあたりのダウンタウンの雰囲気に近い。あまり見る所もないので早足で通り抜けるのが吉。


Adderley Streetあたりまで下ってくると店や小奇麗な建物が増えてきて、街並みも幾分活気を帯びてくる。
なぜか金の買取りの客引きが多い。
道端には果物や花を売る露店が出て、第三世界の大都市らしい雰囲気だ。

このあたりも道行く人々はほぼ全員黒人だった。
徹底した隔離政策の名残と極端な貧富の差が相俟って、アパルトヘイト撤廃から20年経った今でも黒人と人口の約10%の白人との生活圏はあまり交わっていない。Bloombergの記事によれば、最新の統計では黒人と白人の収入格差は6倍もあるらしい。

アメリカの例を見ると、奴隷解放宣言から150年、公民権運動から50年を経て、未だに黒人と白人の経済格差は埋まらず(NY Timesの記事によると依然として白人世帯の保有資産は黒人の約10倍(中間値ベース)で、近年更に格差は拡大しているらしい)、多くの大都市で居住エリアも異なることを考えると、南アも当分はこのような状況が続くのかもしれない。それでも、時折高級レストランで黒人の客を見かけたり、逆に白人のホームレスを見たりもするようにはなっているのだが。


Adderley Streetを東に入ったCity Hall付近の一帯は危険地域とされるので、足早に見て回った。
浮浪者が多いが街並みは周辺とそれほど変わらず、知らずに迷いこんでしまったら治安が悪いとは気付かないかもしれない。新年のカウントダウンでもしたのだろうか、City Hallには飾りつけが残っていて、前の広場では会場らしい架設のスタンドを解体していた。


Government Avenueの付近は瀟洒なビクトリア様式の建築が並ぶ。Company's Gardenにつながる並木の遊歩道の脇には国会議事堂、高等裁判所、聖堂等が立ち並び、美しい緑豊かな散歩道になっている。このあたりになると、一転して白人と観光客の世界に変わる。


Public Gardenの中には堂々たるセシル・ローズの銅像が佇立している。
あの「できれば全惑星を併合したい」とのたまい、現在のジンバブエ・ザンビアの旧国名(ローデシア)として自分の名前をつけてしまったローズである。ちなみに人名由来の国名はアメリカ、ボリビア、コロンビア等他にもあるが、いずれも自薦ではなく他薦であり、自分の名前をつけてしまう例は寡聞にして知らない。例えばコンゴ自由国を自分の私有地として暴虐の限りを尽したレオポルド2世でさえ自分の名前は首都名(レオポルドビル=現キンシャサ)にしかつけてないし。

そんな傲慢で非道な帝国主義者・人種差別主義者のローズの銅像が大っぴらに立てているのは正直どうなんだろうか。黒人も見ていていい気はしないのではないだろうか?それを言うなら、主にアメリカでローズ奨学生がスーパーエリートとされている(フルブライトやハッブルやビル・クリントンも奨学生だった)ことも政治的にイマイチ正しいとは言えないのだが。


カンパニー・ガーデンズを抜けて少し北上すると、バーやレストランが集まるLong Streetがある。
観光客が多く、オープンエアのカフェやバーもあってかなりリラックスした空気。街並も様変わりして、ニューオーリーンズやカリブ海沿岸のようなテラスが張り出した鮮やかなタウンハウスが通りを彩る。


市の中心部からやや北上したシグナル・ヒルの麓の斜面に、カラフルな家が並ぶBo-Kaap(旧名Malay Quarter)と呼ばれる一画がある。長らくケープタウンにおけるマレー人とムスリムの文化の中心だったらしく、独特の建築様式と家並みが美しい。


Green Market Squareは土産物を売る露店が集まり、観光客も多く賑やか。
踊り等の大道芸も見られる。踊る黒人にそれを無関心に見遣る白人という、居たたまれない構図も目に付いてしまうのだが・・・


V&Aウォーターフロントに移動。
その名の通り、埠頭にビクトリア様式のホテルやレストランが軒を連ね、観覧車やショッピングモールもある。シンガポールのクラークキーやみなとみらいをコロニアル風にした感じ。夜も安心して出歩くことができ、便利で近代的なので地形的にも機能的にもsafe harbor的な存在だ。モールのテナントやレストランもそこそこのレベルで、アフリカの中では最も快適で先進的なエリアだろう。商業施設自体は世界中の他のどこでもありそうなものだが、埠頭の古い建物と、背後に聳えるテーブルマウンテンの組み合わせはなかなか美しく魅力的だ。

ロッベン島へのチケットを買うためにウォーターフロント内にあるボートの乗場に行ってみたが、ハイシーズンのため数日先まで予約で一杯。我々の滞在中は全く空きがなかったので諦めざるを得なかった。


南アフリカ旅行記:ケープタウン市内観光/VAウォーターフロント