宿の裏庭で飼われている鶏の劈くような鳴き声で目が覚める。iPhoneに目をやると朝5時。
既に部屋は暑くなり始めていて、寝冷えしないよう消していたエアコンのスイッチを入れ、再び眠りに落ちていく。
熱帯の朝のまどろみは甘い。
朝食の後、サンパウロ宮殿に行った。
17世紀にポルトガルが建設した総督の住居で、2階が当時の住居の様子を再現した博物館、1階が海洋博物館になっている。住居部分のインテリアは正にインド洋交易といった所で、ポルトガル製のタイル、明朝の家具等がいい具合にミックスされ、なかなかエレガントで見応えがあった(但し撮影禁止)。海洋博物館は帆船の部品や模型が狭いスペースに並べられているだけで、ついでに見るくらいで十分だった。
なお、宮殿には礼拝堂も併設されている。
宮殿の前の桟橋で、久しぶりに晴れた空と青い海を見渡す。
眩い日差し、浅瀬で貝等の魚介類を集めるオバサン、泳ぎ回る外国人旅行者と子供たち、大勢の客を乗せて行き交うダウ船。夏のエッセンスを凝縮したような光景だ。
ストーンタウンを歩く。晴れた日には印象が全く違う。
家々の鮮やかな壁の色が熱帯の太陽に映えて美しい。
ランチを食べた後、この島に来て3件目の宿、Hotel Escondidinhoにチェックイン。
プールがある中庭を望む2階の部屋で、やや狭いが天井がとても高い。高級ホテルではないが、モザンビーク独特の様式を取り入れたインテリアは素朴ながらも居心地がいい。
チェックイン後、まだ足を踏み入れていない島の南部へと向かった。
南部はマクティ・タウンと呼ばれ、島の住人の大半はこの地域に住んでいる。コロニアル建築よりは比較的新しい建物や茅葺屋根の家が多く、モスクやヒンズー教の寺院があるのもこのエリア。
廃墟が多いストーンタウンと比べて人が多くて活気がある。
島民の大半が住むマクティ・タウンの住宅街は道路から一段低くなった土地に茅葺屋根の小屋が並び、風化しつつも瀟洒で風情があるストーンタウンとは大きな差がある。
アフリカでは普通と言えばそうなのかもしれないが、正直かなり貧しい印象だ。勿論モザンビークは最貧国の一つではあるのだが、狭いスペースに粗末な小屋が並ぶ様は、大都市のスラムに近い印象だ。治安がそれほど悪くないのが救いだが・・・
夕方、ダウ船をチャーターして島の北側を回った。
船頭と助手の二人で器用に帆を操り、風向きに関係なく実にスムーズに船を走らせて行く。
時折左右のバランスを取るために、棒に体を預けて船の外に全身を乗り出したりする。
曇り空の下のマクティタウンは全体に土気色で生気を欠いて見えるが、海岸で遊んでいる子供達がこちらを見付けて手を振ってきたりして、陸とは違う視点で眺めるのもこれはこれで面白い。
途中、群集がびっしり集まっている所に遭遇する。どうやらサッカーの試合の観衆らしい。えらい人気である。
宿に帰ってプールで泳ぎ、ビールを飲んでぼんやりとする。
モザンビーク島では大分のんびりしたが、本当に小さくて静かで美しい、いい島だった。
明日からはマラウィ湖まで連日移動。
モザンビーク旅行記:モザンビーク島-サンパウロ宮殿、ストーンタウン、マクティ・タウン、ダウ船クルーズ