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Le Morne, Grand Bassin, Chamarel
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ル・モーン山

タクシーをチャーターして、モーリシャスの南部を回った。
当初の予定ではレンタカーを借りるつもりだったが、ハイシーズンのせいでなんと島中のレンタカーが実に1週間先まで一杯。タクシーは半日チャーターでMUR2500(80ドルちょい)と若干高かったが、レンタカーでもそのくらいはかかってたはずなので仕方がない。
最も行きたかったル・モーン山の他、近くにあるシャマレル、ブラック・リバー渓谷も回ってみることにした。


ル・モーン山は19世紀に逃亡奴隷が住み着いたことで知られる山で、奴隷制が廃止された際に官憲がその旨を知らせに行くと、官憲の来訪理由を誤解した奴隷たちが崖から身を投げて死んだとも言われている。数少ない負の遺産の一つとして、世界遺産にも登録されている。

車はポートルイスを越えて島の西海岸を南下していく。
南部に差し掛かったあたりで雲行きが怪しくなり、大粒の雨が降り出した。


雨は段々と激しく、霧は濃くなって行く。
ル・モーン山の麓に到着するが、空が霞み、山の全容は見えない。
険しい岩山の輪郭だけがぼんやりと霧雨に浮かぶ。

天涯の山深く、逃亡奴隷たちがどうやって暮らしていたのかを想像するのは難しいが、ここが彼らにとって安息の地ではなかったことは容易に察せられる。厳しい自然の中、なんとか生き延びて来た逃亡奴隷たちは、官憲の来訪の意図を誤解して自ら命を絶った。捕虜となることを禁ぜられたわけでも、連れ戻されたら惨い目に合わされると誤った情報を与えられていた訳でもなく、自らの経験に照らして、再び囚われの身になるよりは死を選んだその選択は、奴隷生活の苛烈さをこれ以上ないくらい雄弁に語っている。白人たちの業は深い。


山の麓には、飛び降りる奴隷の人影をモチーフにした、なんとも不謹慎なデザインのモニュメントがある。
ル・モーンは壮観だが、モニュメント自体はかなり微妙だ。


ル・モーンのすぐ前にはビーチがあり、大雨の中、果敢にも泳ぐ人たちが散見された。
確かに濡れてしまえば一緒ではあるが・・・


ル・モーンを望む美しいビーチ。晴れてたら最高に違いない。
ル・モーンはビーチから眺めるのがベストかもしれない。
周辺にはSt. Regis等の高級ホテルやゴルフコースも多い。




シャマレルの滝。
滝と言うより、か細い一本の水の筋。
モーリシャス以外なら、観光地と称するのは憚られるレベル。



7色の土で有名なシャマレル。
確かにグラデーションになってるが、特に驚いたり感動するようなものでもなく、だからどうした感が拭えない。観光客も概ね微妙な反応。


モーリシャスのグランドキャニオンことBlack River Canyon。
眺めはいいが、基本的にただのなだらかな渓谷だ。雨上がりの虹がきれいだった。

ここで今回の予定は終わりだったが、運転手と交渉して、プラス5ドルでグラン・バッサン(Grand Bassin)まで行ってもらうことにした。



グラン・バッサンはクレーター湖で、ヒンズー教の聖地だ。
街に近づくと、霧の中から巨大なシヴァ神像がヌっと現れる。
霧が濃すぎて運転手に言われるまで気付かなかった。牛久の大仏的な姿勢である。

湖のほとりには真新しい故サイババ像が建立されていた。
そういえばサイババっていつ亡くなったんだっけ、と思って調べてみたら2011年4月と割と最近だった。ずっと昔に死去のニュースに接した気がしたのだが、最近時間の感覚がおかしいのかもしれない。


一番目立つところにあったのはクリシュナ像。土台もクリシュナ色。
水にご利益があるのか、汲んでる人が多い。



完全にガンガーのガート状態。
とはいえ、聖地といっても熱心に祈るというよりは行楽っぽいノリの家族も多く、和やかな雰囲気だった。


帰り道に見えたキノコ雲。火事?


ホテル近所のインド人の店で夕食。
シーフードとナスのマリネ。美味。