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Dumbo Arts Festival
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常々、マンハッタンは東京での山手線沿線とその内側のようなものだと思っている。
広さも同じくらいだし、都市としての集積度も同様だ。ビレッジは青山、ミッドタウンは新宿、渋谷、丸の内、アッパーイーストは南麻布か白金、コロンビアのあるモーニングサイドハイツは巣鴨。
そのアレゴリーでいうと、ブルックリンはさしずめ世田谷や中野、杉並といったところか。

そんなブルックリンの中でもhipなエリアとされるDumboでアートフェスティバルが開催されているという。Dumboは言うなれば下北や中目のような街なのだろうか。ブルックリン・ブリッジの袂にあるというそのNYの下北に、折角なので橋を歩いて渡って行ってみることにした。



マンハッタン側の橋の入口近くのCity Hall Parkには、高さ10m近い巨大なDaddies Tomato Ketchupのインスタレーションが鎮座していた(ちなみにこれはPublic Art Fund企画のPaul McCarthyというアーティストによる展示で、アートフェスティバルとは関係はない)。唐突感はあるものの、若干薄汚れているせいもあって残念ながらそれほどインパクトはない。



橋の入口からは、表面が波打っているようなカッコいいテクスチャーの高層アパートが見えた。
後で調べたところ、フランク・O・ゲーリー設計の高層アパートNew York by Gehry (8 Spruce Street)で、優れた超高層ビルに贈られるEmporio Skyscraper Awardの2011年の1位だったらしい(ちなみにこの賞は世界中の新しい高層建築をほぼカバーしていて、マニアにはたまらない)。ゲーリーであれば波打ってるのも当然だろう。

76階建で、高さは265mと東京都庁より高い。賃貸専用らしく、低層階のStudioであれば$3000/mくらいからあり、一般人でも何とか手が届く範囲。



初めて渡るブルックリンブリッジは、両端を車道が占めていて期待したほどの眺めではなかったものの、木製のボードウォークや橋の佇まいはとてもクラシカルで味わいがある。散歩するのにちょうどいい距離で、確かにこれは地下鉄や車で渡ってしまうのは勿体ない。



ニューヨークの下北ことDumboは、期待と裏腹に全然栄えていなかった。
マンハッタンと比べると店の密度は低く、ヴィレッジやLower East Sideあたりにあるようなかっこいい店も多くない。なぜhipなエリアとされているのか今一つ腑に落ちないのだが、対岸に見えるマンハッタンの眺めはなかなかのもので、きっとこの眺めも含めての評価なのだろうと勝手に納得した。



肝心のアートフェスティバルはというと、何とかビエンナーレとかトリエンナーレのように、しっかりとした展示やインスタレーションを予想していた所、予想より遥かにカジュアルで、アートスクールの学生の自主制作レベルのものが多かった。

自作のアート風衣装を着たアーティストの卵がいたり、子供が自由にペイントできるキャンバスが用意されていたり、果ては会場内でウェディング写真の撮影をしているカップルが大勢いたり・・・本格的な現代のファイン・アートを期待すると肩透かし気味だが、川沿いに遊びに来た家族がついでに楽しむ場所といった風情。
善解すれば、それだけニューヨークでは現代アートが一般に浸透しているということなのかもしれない。