ナイアガラからのバスは夜10時頃トロントに着いた。
トロントの夜は今夜だけなので、そのまま夜景を見るためにCNタワーに行くことに。
ナイアガラタワーに続いてまたタワーだが、CNタワーはかつては世界最高の自立式タワーであり、高い建物好きとしては絶対外せないスポット。もっとも、90年代後半以降の東・東南アジアでの高層建築ラッシュや2000年代の湾岸での高層ビルブームもあり、CNタワーの存在感は年々薄まっていたのは否めないが・・・
ちなみに、エンパイアステートビル以降の、各分類毎の世界一高い建物の推移を時系列で整理すると以下の通り。
Year
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Tower/Building
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Category
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Location
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Height
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1931年
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エンパイアステートビル
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ビル
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ニューヨーク
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381m
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1974年
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ワールドトレードセンター
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ビル
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ニューヨーク
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417m(9.11で倒壊)
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1974年
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ワルシャワ・ラジオ塔
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その他*
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マゾフシェ県
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646m(1991年に倒壊)
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1974年
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シアーズ・タワー(現ウィリス・タワー)
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ビル
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シカゴ
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442m
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1976年
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CNタワー
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自立式タワー
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トロント
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553m
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1997年
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ペトロナスツインタワーズ
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ビル
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クアラルンプール
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452m
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2004年
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台北国際金融センター
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ビル
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台北
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508m
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2010年
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ブルジュ・ハリファ
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ビル
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ドバイ
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828m
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2012年
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東京スカイツリー
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自立式タワー
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東京
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634m
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こうしてみると、CNタワーはワルシャワ・ラジオ塔が倒壊した1991年からブルジュ・ハリファに抜かれる2010年までの約20年間、名実ともに世界一高い建物だったことが分かる。それにしても、ブルジュ・ハリファはウサイン・ボルト並みに突然変異的な高さだ。今後は更に2014年に深圳の平安国際金融センター(660m)、2015年にソウルのDMCビル(640m)、そして2016年にはクウェートでMadina Al-Hareerビル(1001m)の竣工が予定されているので、しばらく東アジア・中東を中心に高層ビル戦国時代が続きそうである。
なお、高い建物好きとしてはスカイツリーは中途半端過ぎていまひとつ注目する気になれない。
今ではスカイツリーより高いビルが世界にはいくつも存在するし、今後も続々と抜かれることが予定されている。しかもこっちはただの鉄塔にすぎないのに向こうはビル。誰でも簡単にドバイに行ける時代に、スカイツリー開業で盛り上がれないのはその意味で仕方がないのかもしれない。そしてタワー建築の観光名所としての役割が終わりかけていることに一抹の寂しさを覚える。
展望台からは北にオフィス街、南にオンタリオ湖が眼下に広がる。
週末なのでオフィスビルの窓の明かりは少ないが、コンパクトにまとまった煌めく街並みがとても美しい。
もっとも、室内の照明が十分に落とされておらず窓ガラスが反射する上に、最も眺めがいい角度はレストランになっていた(しかも夜遅いので閉まっていた)。夜景を売りにする積りなら大いに改善すべき余地があるだろう。この時代錯誤な営業努力のなさっぷりがタワー建築らしいといえばらしいのだが・・・
ひととおり夜景を眺めて満足したので、ホテルに戻りチェックインした。
トロント市内のホテルはNY並みに高く、泊まったCourtyard by Marriott(ホテルクラス的にはHoliday Innレベル)も日本のビジネスホテル並の内容で300ドル近くした。しかもサービスは最低。まあ詳しくは語るまい。
ホテルにいてもつまらないので、夜のトロントの街を散策してみる。
Yonge通りの猥雑な界隈には、ストリップ劇場やSex Shopが軒を連ねる。
チャーリーシーンの新作映画の巨大な看板、消費者金融、安いピザ屋やインド料理屋。
Dundas Squareのクラブの前ではインド系の若者が黒人のセキュリティーと罵り合い、取っ組み合いの喧嘩をしている。粗野で田舎っぽく、およそ洗練や瀟洒という言葉とはほど遠い夜の街だ。
夜中を回ると都心でも開いてる店は殆どなく、やっとみつけたビアホールもすぐに閉店。
しかしオリジナルのエールは濃厚な味でうまかった。