Viscri, Transilvania |
今回ルーマニアに来た最大の目的は要塞教会。寧ろ要塞教会を見るためにルーマニアに来たと行っても過言ではない。
要塞教会とは、読んで字の如く要塞化された教会のこと。
中世以降トランシルヴァニアは恒常的にオスマン帝国等の外敵の侵入にさらされていたが、シギショアラのような都市は町全体を城壁で囲ってもらえたものの、小さな村落まではいちいち城壁を作ってもらえないので、人々は最低限の財産と人命を守る手段として、村の中心の教会を分厚い壁で囲い要塞化することにした。
その名の通り、非常に勇ましいエピソードによって生まれた建造物群だ。
ちなみにWikiによれば要塞教会を築いたのはスラブ系ではなくザクセン人の村落とされる。当時のトランシルヴァニアのデモグラフィがどうなっていたのか知らないが、混住ではなく民族毎に別の村落で暮らしてたということだろうか?また要塞教会を建設しなかったスラブ系の村々は外敵にどう対応したのだろうか(むしろ殲滅されたのだろうか)?想像は尽きない。
現在世界遺産に登録されている要塞聖堂は7箇所あるが、移動の便と写真を見た限りの好みで、ビエルタン、サスキズ、ヴィスクリの3箇所に行ってみることにした。
BIERTAN
数ある要塞教会の中で一番メジャーなのがビエルタンだろう。シギショアラから南西に行った所にある村で、村の中央の高台に築かれた教会は3重の防壁に囲まれ、威容を誇る。
シギショアラから村までの道沿いはのどかな田園風景で、時折ロバ車に飼葉や木材を積んだロマとすれ違う。近代以前からあまり変わらぬ風景だ。変わっている点といえばロバ車のタイヤがゴムだったり、ロマがTシャツを着ていたりするくらいか。他の車が殆どいない緑の道を走るドライブは非常に爽快。
防壁の中には聖堂と、物見の塔が何本も建てられている。聖堂は村の聖堂らしく質素でシンプル。
VISCRI
ヴィスクリの村はブネシュティ(Bunesti)から街道を南に折れ、数km行った所にある。
非常に美しい緑の牧草地や並木が続き、まるでイギリスの田舎あたりをドライブしているようだが、時折現れるロバ車や穴ぼこだらけのアスファルトがここがルーマニアであることを思い出させてくれる。
ヴィスクリの要塞は他の要塞教会と違って街中にあるのではなく、街から少し外れた森の中にある。
要塞の中は素晴らしい保存状態で、下手な修復や手入れもなく昔のままの建物が残されている。
その名の通り、非常に勇ましいエピソードによって生まれた建造物群だ。
ちなみにWikiによれば要塞教会を築いたのはスラブ系ではなくザクセン人の村落とされる。当時のトランシルヴァニアのデモグラフィがどうなっていたのか知らないが、混住ではなく民族毎に別の村落で暮らしてたということだろうか?また要塞教会を建設しなかったスラブ系の村々は外敵にどう対応したのだろうか(むしろ殲滅されたのだろうか)?想像は尽きない。
現在世界遺産に登録されている要塞聖堂は7箇所あるが、移動の便と写真を見た限りの好みで、ビエルタン、サスキズ、ヴィスクリの3箇所に行ってみることにした。
BIERTAN
数ある要塞教会の中で一番メジャーなのがビエルタンだろう。シギショアラから南西に行った所にある村で、村の中央の高台に築かれた教会は3重の防壁に囲まれ、威容を誇る。
シギショアラから村までの道沿いはのどかな田園風景で、時折ロバ車に飼葉や木材を積んだロマとすれ違う。近代以前からあまり変わらぬ風景だ。変わっている点といえばロバ車のタイヤがゴムだったり、ロマがTシャツを着ていたりするくらいか。他の車が殆どいない緑の道を走るドライブは非常に爽快。
ビエルタンの要塞教会の威容は、村の外からでもよく見える。殆ど城のような大きさで、近付くと見上げるほどだ。確かにこれはゴツい。敵にとってはさぞかし落としにくいだろう。
実際にはビエルタンが戦場となることはなかったのだが、この攻めにくさがあるいは抑止力になったのかもしれない。
塔の上からはビエルタンの村が一望できる。なだらかな丘の谷間にあるいかにも平和そうな村だ。なんだかマスターキートンの最終話に出てくるルーマニアの村を思い出させる。最も有名な要塞教会なので観光客はかなり多い。
SASCHIZ
サスキズの村はシギショアラからブラショフへの街道沿いにあってアクセスは非常によく、村の裏手の丘には崩れかけた砦の跡まである。しかし他の要塞教会みたいに防壁で囲われているわけではなく、戦闘用に頑丈に作られた塔があるだけでさして見ごたえはない。
VISCRI
ヴィスクリの村はブネシュティ(Bunesti)から街道を南に折れ、数km行った所にある。
非常に美しい緑の牧草地や並木が続き、まるでイギリスの田舎あたりをドライブしているようだが、時折現れるロバ車や穴ぼこだらけのアスファルトがここがルーマニアであることを思い出させてくれる。
対向車も殆ど来ないような道を走っていくと、小さな村落が見えた。ヴィスクリの村だ。
集落はゆるい傾斜の盆地にあり、その中の小高い丘の上に要塞教会が立っている。
教会には観光客は誰もおらず、門前に子連れのロマの物売りがいる他は人の気配もない。
入り口は鍵がかかっていて、「14:00まで外します」的な張り紙があったので、仕方なく車の中で昼寝をして待つことにした。外はうだる様な暑さだ。
時間になったので入口に行くと、予想外に時間通りに管理人と思われるバアさんが鍵を開けに現れた。
多分ランチしに家に帰ってんだろう。
要塞の中は素晴らしい保存状態で、下手な修復や手入れもなく昔のままの建物が残されている。
白壁の外壁と教会は美しく、観光客が少なく静かなこともあって中世にタイムスリップした気分になれる。
個人的にはビエルタンやサスキズより遥かに好み。
礼拝堂は質素な木の内装で、ビエルタンやサスキズに比べると小規模。
個人的にはビエルタンやサスキズより遥かに好み。
礼拝堂は質素な木の内装で、ビエルタンやサスキズに比べると小規模。
こんな田舎の教会が砦を築いて自衛していたことに心意気を感じる。木のパネルの使い方や色使いがセンスがよく、素朴ながらも美しい。立派な聖堂は正直どこにでもあるし、こういう味わい深い教会の方がよほど新鮮だ。
塔の上からは村の周囲の平野が一望できて絶景。
むしろこの素晴らしい景色を見るために塔を建てたんじゃないかというくらいだ。
数百年間ほぼ変わっていないであろう建物と風景は、まさにルーマニアで見たいと思っていた中世さながらの姿そのもの、いやそれ以上だった。
三箇所の要塞教会の中ではヴィスクリがダントツでよかった。場所が不便で道も悪いので多くの観光客が訪れる場所ではないが、要塞教会を回る場合は是非おすすめしたい。
そもそも要塞聖堂自体がどうなのか、見るためにルーマニアにまで行く価値があるのか、という点については私は十分その価値はあったと思う。ヴィスクリは今まで数多く見た教会建築の中でもトップクラスに入る素晴らしさだったし、教会に至るまでの田舎の風景も中世さながらで素晴らしかった。
ルーマニア旅行記:トランシルバニアの要塞教会:ヴィスクリ/ビエルタン/サスキズ