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ドラキュラの城
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ブカレストに戻る途中、有名なブラン城に寄った。
ブラショフの郊外にある俗に「ドラキュラ城」と呼ばれている城で、ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」の舞台のモデルになった。しかしながら、歴史上のドラキュラ=ヴラド公はここに住んだ事はなく、彼の祖父が住んでいたに過ぎない。とんだ肩透かしだが、伝説とか奇譚とは関係なく普通の中世の古城とみれば問題ないと考えることもできなくはない。

ちなみに吸血鬼ドラキュラのイメージはほぼブラム・ストーカーの創作と言ってよく、ストーカーが祖国アイルランドの吸血鬼伝説とヴラド3世の残虐伝説を綯い交ぜにして人物像を造形した。ヴラド公の家系としてはいい迷惑だろう。


ヴィスクリからカルパティア山脈の山道を抜けてブラショフ近くまで着くと既に夕方。
不正確なGPSに苦しめられながらなんとか城にたどり着くと、今度は駐車場所が見つからない。
ハイシーズンなのでブラン城の麓は露駐の嵐。

なんとか駐車場所を見つけ入場口まで行くと、閉館時間(18:00)まであと2分と滑り込みセーフ。危なかった・・・・一旦入ってしまえば、しばらくは追い出されない。城は急な丘の上にあり、麓からは木が視界を邪魔して全容が見えにくい。


中は観光客で一杯で、ほぼ貸切状態だったヴィスクリの要塞教会と比べると非常にツーリスティックでややゲンナリさせられる。

建物の中は城というより大きめの民家のような風情。天井は低く、屋根と壁の色や工法はそこらへんの伝統的な町屋とあまり変わらない。内装に至ってはどうみてもちょっと裕福な普通の家庭といった感じ。時折展示されている武器や甲冑が、かろうじて城であることを示している程度。
とはいえ、内部の構造は入り組んでいて忍者屋敷みたいで面白いことは面白い。


丘の上にあるので眺めもよく、それなりに興味深い建物ではあるものの、ドラキュラ城というおどろおどろしいイメージで期待していくと間違いなくガッカリするだろう。ただ、普通の中世の城という観点からみるとそれなりに見る価値はあると思う。有名なので混んでるのが残念だが。



すっかり暗くなった道をブカレストへと急ぐ。
山の中を縫って進む道は街灯が乏しく真っ暗で、日本むかし話のとっぷり日が暮れた山道を小走りで帰る小僧のような不安な気持ちになる。ブカレストに着いた頃には夜も遅く、目も肩も疲れ果てていた。何しろ普段運転しないのに1日で要塞教会とブラン城を車で周ってブカレストまで帰ってきたので、疲労困憊しても無理はない。


再び道に迷いながらも今夜の宿のHotel Christinaに到着。予想外に近未来的なホテルだった。
一応Tripadvisorでブカレスト1位なだけあって値段とサービスは悪くないが、場所が繁華街から離れていて、周りには遅くまでやってるレストランは皆無。便利さを考えるとレンブラントホテルの方がよかったな。


夜のブカレストは治安が悪いのでビクビクしながら空いてるレストランを求めて歩く。
折角入ったバーは乾き物だけだったので、ビールだけ飲んで再度店探し。
歩くこと10分、ようやく開いているレストランを発見。


ルーマニアWrap up: 要塞教会(特にヴィスクリ)は素晴らしく、シギショアラもよいが、ブカレストは見るところがなくて危険なので滞在する必要なし、ブラン城は期待は禁物、シナイアは印象が薄い。
総じてルーマニアの魅力は田舎の田園風景と村々、小さい町にあると思う。ロバ車がいなくなる前に行っておいたほうがいいかも。

明日はこの夏の旅行の最終目的地、ブルガリアへ移動。