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シナイアの僧院/シギショアラへ
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朝、Hertzで車を借りるために空港に向かう(前日に予約しようとしたら空港のオフィスしか空きがなかったのだ)。
一応ヨーロッパなのでオートマは少なく割高で、唯一残っていたフォードのAT車は1日250ドルとフォードのくせにやたらと高かった。去年クロアチアでメルセデスのEクラスをレンタルした時と殆ど値段が同じなのはどういうことか。
ちなみにルーマニアはバスや鉄道のインフラが貧弱で、特に今回訪れようとしている田舎の要塞教会を周るには現実的な選択肢はツアーかタクシーか車しかない。

今日はブカレストからブラショフを経由してシギショアラまで移動。
途中、ブラショフの前にシナイアに寄る事にした。シナイア(シナヤ)は山間の町で、有名なシナイア僧院やルーマニア国王の夏の離宮のペレシュ城・ペリショール城がある。

道は意外と分かりにくく、特にGPSが曲者で間違った方向に行っているのに気付かず1時間ほどロスしてしまった。
道に迷いながらゴーストタウンのような中世のような田舎町を走り抜けて行くと、自分がどこにいて何をしているのかふと見失いそうな不安な気持ちにさせられる。


結局道に迷ったせいで、シナイアに着いたのは夕方近くなってしまった。
ペレシュ城は入れず、ペリショール城も入場できずに外観のみ。
既に売店は店仕舞いしていて人が殆どいない上に野犬がうろついており、城のおどろおどろしい建築との相乗効果で、往年のオカルト映画「オーメン」のように不気味な空気。
屋根の補修をしている所を見掛けて、あの瓦が落ちてきて死んだりしないだろうか、と心配になるレベル。


幸い僧院の方はまだ営業中だった。さすが宗教施設である。
僧院は17世紀に創設された東方正教会の修道院で、ブカレスト教区に属する。
奥の方には創建当初の小さな礼拝堂があり、正教会系らしく色鮮やかでベタっとした感じの美しい壁画が残されている。


現在メインで使用されている大きい方の教会(The Great Church)は割と新しく1846年に建設された。
インテリアはこちらもビザンツ式で、金色ベースの壁画が所狭しと塗られている。
外観はなんということはないが、壁画はそれなりに見ごたえがあった。


ペレシュ城を見られなかったせいかシナイアは全体的に地味な印象だった。
時間があったら立ち寄ってもいいが、マストではない気がする。


日が暮れる前にシギショアラに着きたいので、道を急ぐ。
ブラショフまでの街道は両側に険しい山並みが迫り素晴らしい景色だが、道は一車線でしかも時折ロバ車や農作業車が塞いでいるのでなかなか思うように進まない。山道なので追越しも簡単ではない。


ブラショフの街は特に関心がなかったので立ち寄らずに通過し、一路シギショアラを目指した。
この辺まで来ると沿道はすっかり農村の風景。いつか誰かが「ルーマニアの田舎には中世が残っている」と言ったが、まさに中世から殆ど変わってなさそうな畑や草原や村々が続く。
時折通り過ぎる村には要塞教会の鐘楼や、崩れかけた砦(ルペアの要塞)のシルエットが見える。


かなり飛ばしたお陰で、なんとか日没前にシギショアラに到着。
もっとも、シギショアラ内は一方通行と進入禁止が多く道も分かりにくかったので、ホテルに辿り着いた頃にはすっかり暗くなってしまったが・・・道中の田舎の風景は美しく、割と快適なドライブだったが、普段運転しない上に慣れない道で疲れ果てた。