Cordoba

Mezquita, Cordoba

マドリードからグラナダへ向かう途中、コルドバに立ち寄った。

AVE（高速鉄道）のマドリードの発着駅であるアトーチャ駅はヨーロッパのターミナル駅らしくコンコースが大きなカマボコ状のドームになっていて壮観（ただしプラットホームは殺風景）。中央駅はその都市の顔でもあるので日本もいつかこういう駅ができたらいいが、欧米とは比較にならないほど複雑に路線とホームが入り乱れている東京のターミナル駅では100年かかっても実現は難しいだろう。可能性があるとしたらリニアみたいな地下駅だが、それだと風情も何もないし。

AVEの車両はTGVをベースにしてて車内は静かで快適だが、車両編成が異常に長く、端の車両まで歩いて数分かかった。最高運行速度は300km/hと新幹線と同じくらいのスピードで、300km離れたコルドバまで2時間弱。

Estación de Atocha

AVE

AVEがコルドバ駅でスーツケースをロッカーに預け、タクシーでメスキータへと向かう。

コルドバはウマイヤ朝時代の711 c.e.にムスリムに征服され、その後756 c.e.からは後ウマイヤ朝の首都が置かれ、13世紀にレコンキスタでキリスト教徒に奪還されるまで500年以上もイスラム王朝の文化の中心だった。

この歴史を見て引っかかるのが500年も支配されていた土地を「奪還」した点。
500年も占領されたら普通もはや自国の土地とは言えないし、そもそもイスラム以前にイベリア半島を支配していた西ゴート王国（ゲルマン系）とレコンキスタでコルドバを奪還したカスティーリャ王国（非ゲルマン系）とは同一性・連続性はない。例えて言えば21世紀にモロッコがスペインを侵略して「昔我々の先祖の土地だったので奪い返した」と主張するようなもので、キリスト教国とイスラム勢力の対立・緊張関係があったにせよ、「失地回復」の大義名分は当時の感覚でも言いがかりに近かったのかもしれない（ちなみにイスラエル批判ではありません。）

後ウマイヤ朝の首都として栄えたコルドバは当時バグダッドに次ぐイスラム文化の中心で、そのため多くの史跡が残されている。中でも8世紀に建てられたメスキータ（大モスク）は数世紀にわたって信仰と文化の中核であり続け、列柱とアーチが並ぶ祈りの間でも知られる。

Mezquita

Exterior decoration

The Courtyard

The bell tower, converted from minaret

元々古い教会があった土地に785年に建てられたメスキートは、13世紀のレコンキスタを境に教会へと転用される。
10世紀に大規模な増築が行われた他、教会への転用後は更に身廊と礼拝堂が増築されたため、現在ではそれぞれの時代の建築が入り混じったかなり複雑な構造になっている。鐘楼もミナレットを改築したものだ。
ダマスカスのウマイヤド・モスクやイスタンブールのアヤ・ソフィア等のようにキリスト教会がモスクに転用されたケースは珍しくないが、逆の事例はそれほど多くない。

Columns

Small Chapels

Geometric Pattern Sunshade

モスク内部は天井が低くて薄暗く、昼間でもランプが灯されている。列柱の林がある祈りの間は美しく荘厳な雰囲気。

モスクの遺構のすぐそばに礼拝堂や身廊があったり、かなりツギハギ感が出ていて面白い。個別にみるとやはりイスラム建築の部分の方が断然インパクトが強いが、両方の建築様式が渾然一体となってるのがこの建物の魅力だろう。

Mihrab, indicating the direction of Mecca

The entrance to the cathedral

アルカスルから舌を噛みそうなグアダルキビール川にかかるローマ橋を渡った対岸にあるカラーオーラの塔に向かう。
それにしてもこの日のコルドバはめちゃくちゃ暑かった。40℃近くあったと思う。数百メートル歩くだけで日射病になりそうなほど日差しも強い。ローマ橋は（涼しければ）風情がありそうだったが、塔自体はなんてことなかったので早々にビールを飲むために街へと撤収。