Barcelona Pavilion, Barcelona |
バルセロナ・パビリオンは1929年のバルセロナ万博のスペイン館として建てられ、いわゆるインターナショナル・スタイルの嚆矢となったミース・ファン・デル・ローエの代表作の一つ。ミースはル・コルビュジエと並んで現代建築の歴史においては2大アイコンとされる(ライトを入れて3巨頭と称することもある)が、ミースを知らなくても彼がこのパビリオンのためにデザインしたバルセロナ・チェアを知っている人は多いだろう。
そんなわけで、日本に帰国する相方を空港に送り出した後、ブカレスト行の便までの時間を利用して行ってみた。
なお、建築史における重要性にもかかわらずバルセロナ・パビリオンの観光地としての扱いは低く、地球の歩き方には掲載すらされていないし、人気の面ではバルセロナ随一の観光名所であるガウディ建築の足元にも及ばない。現代建築史的にはこちらの方がメジャーなのだが。
バルセロナ・パビリオンはモンジュイックの丘の下の空き地の脇に、実にひっそりと佇んでいた。
ちなみにオリジナルの建物は大恐慌時代に取り壊され、現在あるのは80年代に再建されたもの。
到着した時は、観光客も係員もいなくてまさかの無人。本当に人気ないんだな・・・
The Main Space |
写真では何回見ても建物全体の概要がいまひとつピンと来なかったが、実際に見てみるとやはり違う。
壁、窓、屋根、すべて(直方体でも柱でもなく)板のみで構成された抽象的な空間。
しかし、コルビュジエのサヴォア邸みたいに白で塗りつくされることはなく、大理石の壁やトラバーチンの床の質感のせいで却ってグラマラスに見える。80年以上経った今見ても美しく、非常にモダンで新しく感じられるデザイン。
東側は床から天井までガラスになっている。全面ガラス張りのビルが日本で多く見かけられるようになったのはそれほど前のことじゃないが、1920年代にこれを作ったというのは驚異的。
なお、鉄筋コンクリートとガラスという近代建築の2大要素は、それぞれコンクリートの立体で建築を構成することを試みたコルビュジエと、バルセロナ・パビリオンやそれに続くアメリカ時代のシーグラムビル、レイクショア・ドライブ・アパートメント等のインターナショナル・スタイルでガラス建築の先鞭を付けたミースにそれぞれ遡るとされる。
Patio |
The Backside of the Main Space |
The Back Wall and th Annex |
The Back Wall, Connected to the Ceiling Slab |
ベストアングルの一つ。
池に面した大理石の壁が90度のねじれを経て建物の屋根につながっているように見える構成美。
The Book Store |
The Pond and the Entire Pavilion |
決して大きい建物ではないが、パビリオンという性質上、一切の実用的な考慮から自由に設計され、美しさと新しさだけを志向してデザインされた、まさに芸術と呼ぶべき建築。
次はアメリカにいる間にシカゴのファンズワース邸に行かないと。
Museu Nacional d'Art de Catalunya |
ついでにモンジュイックの丘の上にあるカタルーニャ美術館にも行ってみた。
建物も立派だし、中世スペイン美術のコレクションはかなり充実している。
The Terrace |
Museu Nacional d'Art de Catalunya |
ditto |
美術館のあと、一旦ホテルに戻り、ルーマニアのブカレストに移動するため空港に向かう。