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ラッフルズ・ホテル
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夜のラッフルズ・ホテル

シンガポールはホテルのメジャーブランドが勢揃いしていて、選ぶのが難しい。
今回はRafflesか、眺めがよさそうなRitz Carltonかでかなり迷ったが、結局昔から一度は泊まりたかったRafflesにした。そもそも筆者は大のコロニアル・ホテル好きでもある。

深夜にシンガポールに到着し、ホテルに向かう。
最初に案内された部屋が通りに面していて少々うるさかったので、ホテル側にリクエストを伝えると、我々が出かけている間に別の部屋を用意してくれるという。


ホテルに戻って案内されたのは、Golden Chersonese Suiteという、ホテルに5つあるGrand Hotel Suiteの一つだった。予約したのはPalm Court Suiteなので結構なアップグレードである。
本館の2階にあり、噴水のある広場に面していて、無闇に広いプライベートのベランダがついている。


部屋はリビングとベッドルームに分かれていて、各部屋に洗面所がある。
昔の建物らしく外界への露出は少なめで、その分部屋は暗めだが雰囲気は最高。綺麗な蘭が飾られ、アンティークの調度や壁の装飾も美しい。ライトの操作が面倒だったり、Wifiがつながりにくかったり、コンセントが少なかったりと近代的な機能は少々弱いが、ここに滞在する目的を考えるとそんなことを言うのは野暮というものだろう。


ちなみにラッフルズでは部屋ごとに専属のバトラーがつく。
滞在中、頼めばフルーツをむいてくれたり、靴磨きやレストランの予約の確認等色々としてくれて、頼んでないのにサプライズの演出をしてくれた。物腰はバトラーという名の割にフレンドリーで、居心地の悪さを感じさせない。
こちらからは電話できず、壁のServiceボタンと押してバトラーから電話が掛かってくる(大抵すぐ電話がある)のを待つ必要があるのがやや面倒だが、これはこれで大時代で面白い。



ロビーの吹き抜けを中心としたパブリックスペースは素晴らしい。
チークの床、ペルシャのラグ、アンティークの椅子とソファたち、東洋の骨董品と、あくまで白い壁。
数あるコロニアルホテルの中でもここのインテリアは圧倒的に優雅だ。


ホテルの中を歩いてみた。
建物は本館が3階建て、両翼が2階建てで、殆どの部屋は長いチークの外廊下に面している。部屋の前にはテーブルと椅子があり、ここで緑の芝生を眺めながらのんびりするのはいいかもしれない。プールはこじんまりしていて、それほど入る客も多く無さそう。

ちなみに敷地は広いが、ラッフルズの客室は僅か100室ほど。
一等地の広大な土地をこれほど少ない客のために使うのはとても贅沢な話だ。
ところで宿泊してみて感じたのは、ラッフルズは非常にお得なのではないかということ。広い敷地に少ない客室、見事に手入れされた建物と隙の無いサービス等々、ラッフルズは他のホテルより高コストなはずだが、宿泊費はリッツはおろか、マリーナベイサンズですら似たようなものだ(マリーナベイサンズに泊まったことはないが、ロビーやレストランや客層はまるでホリディ・インで部屋も「ビジネスホテル並の内装」と仄聞するので、屋上のプール代が宿泊費の80%くらいを占めているのだろう)。

推察するに、ラッフルズの宿泊部門はあまり収益性は高くないものの、ハイティーやロング・バー等の飲食店やギフトショップで稼いでいるのかもしれない。その意味で、ラッフルズは観光で訪れるより泊まる方がいいとも言える。


アーケードの店の種類は多くないが、現代的なモールと違って雰囲気があって楽しい。
3回目のLong Barはいつも以上に観光客で賑わっていて、皆1杯2000円以上するドリンクを次々に飲み干していく。


Tiffin Roomでの朝食は、ブッフェの種類は多くなかったが味のレベルは高く、別途オーダーするメインも美味。


最終日は朝の便で帰るので、夜明け前に部屋のバルコニーで朝食をとった。とても美味で量も食べきれないくらい。時間外でも部屋食でも、追加チャージなしで対応してくれてサービスも完璧。



夜のWriters Barは人気が少なく静かで、美しくて現実感がない空間で、そしてバーテンダー推薦のウォッカで作ってもらったウォッカトニックが異常に旨かった。全く関係ないはずなのだが、ふと去年コペンハーゲンで訪れたNimbのバーを思い出す。



最後の夜、ディナーから戻ると、サプライズでタオルのハート形の白鳥と、花びらのハートが部屋に用意されていた。特に記念日でもないのに、ベタながらも嬉しい演出。

ラッフルズはとても美しいホテルで、高い期待を優に上回る素晴らしい滞在だった。